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人間の体内で働くミネラル

ヘルスケアの知識(ミネラルの知識)

2. 人間の体内で働くミネラル

人間を含めた生物の二大特徴は、自己複製(子孫繁栄)と物質交代(代謝)です。この二つの特徴を備えていると「物」ではなく生物と言えます。
自己複製、物質交代の両方ともミネラルいは重要な働きをします。特に、代謝の際に中心となる酵素を活性化させる働きとしてミネラルは重要です。また、血液中における酸素運搬、神経伝達、筋肉の収縮、いわゆるデトックスと言われるキレート反応にもミネラルは重要な役割を果たしています。
図のようにミネラルはさまざまな働きがありますが、特に重要な酵素の活性化とキレート反応、そして神経情報伝達機能について順に解説します。

酵素の活性化とミネラル

酵素とは生体でおこる化学反応を促進させる触媒物質です。生物の体内で多く存在しており、さまざまな代謝機能に重要な働きをしています。一生の間に人間の体内で生成される酵素の量には限界があり、それぞれの遺伝子に組み込まれた情報によってその量はそれぞれ違います。酵素の量を一生分使い果たした時に生命活動が停止するといわれています。従って、体内の酵素を出来る限り無駄遣いしないことが、健康に長生きする秘訣でもあります。

人体には約60兆の細胞が存在していますが、その細胞一つ一つの中には約5000種類の酵素が常に機能しており、大きく分けて代謝酵素、消化酵素、アルコール分解酵素、食物酵素などがあります(細かく分類すると多種に渡ります)。設計図としての遺伝子の情報をもとにそれを組み立てる役割が代謝酵素で、細胞の生まれ変わりを促しています。また、食物の栄養素を摂りこむところから、輸送、代謝、排泄に至るまでの過程に関わっているのが消化酵素です。お酒を飲むと酔いますが、時間の経過とともに酔いが覚めるのはアルコール分解酵素のおかげです。そして、食物酵素とは生の食品や発酵食品に存在する酵素です。単純にたくさん食べると消化酵素がどんどん減少するのは言うまでもありません。また、酵素は加熱に弱いという欠点がありますが、生の食品や発酵食品を摂ることで食物酵素が働き、体内の消化酵素が節約できるという利点もあります。発酵食品が身体に良いといわれるのはそのためです。
全て解明されていませんが、現在のところ約半数以上の酵素がミネラルを必要としていることが分かっています。しかし、生の食品や発酵食品を多く摂り体内の酵素を節約しても、酵素が活発に働ける環境を体内に整えなければ意味がありません。酵素にいい仕事をさせるためには、十分にミネラルを摂取することが必要不可欠です。

金属酵素とその働き

酵素が活動するために周りにミネラルを必要とする酵素とすでにミネラルを内蔵している酵素があります。後者の内蔵ミネラルを持つ酵素を金属酵素といいます。この金属酵素は、活動時にミネラルが中心的な働きをします。
さまざまな金属酵素がありますが、最も知られているのがSODと言われる抗酸化酵素です。SODは体内で余分に発生してしまう活性酸素の毒性を消してくれます。活性酸素とは侵入した細菌などを退治する際に体内で酸素が変化して生成される物質です。

細菌を退治することから多少強引で凶暴な性質があり、また余分に生成されるため、正常な細胞まで傷つけてしまうのが活性酸素の欠点です。その為、生活習慣病の大きな原因の一つとして、また老化を早めてしまうものとして嫌われています。さらに、ストレスや喫煙、紫外線など普段の生活の中でも簡単に発生してしまうため、活性酸素抜きに生きて行くことは実質不可能と言えます。しかし、十分なミネラルを摂ることにより、SOD(金属酵素)が活性化され、活性酸素の毒性の解消が大いに期待できます。

キレート反応とミネラル

「キレート(chelate)」とはギリシャ語で「カニのはさみ」のことです。ここでは、カニのはさみのように捕らえた分子を包み込み、結合する作用をキレート反応(キレート作用)と言います。つまり、ミネラルが毒性物質と結びつき無毒化して外に排出させるのです。
私たちが普段食べている食品には農薬、食品添加物、化学調味料等多くの化学物質が含まれています。化学物質はあらゆる食品に含まれており、私たちが生きていく上で、もはや避けられないのが現状です。毎日少量ずつ摂取しても生きているのは、このキレート作用のおかげであり、体内に存在する微量なミネラルのおかげであると言っても過言ではありません。

神経伝達とミネラル

生体内の細胞は分子に至るまですべては球体でできているということを前述しましたが、よく考えてみると球体と球体の間には必ず隙間ができることがわかります。
では、その隙間を繋ぎとめているものは何かと言うとそれこそがまさにミネラルの働きによるものです。ミネラルにはいかにも金属元素らしい目には見えない固有の電子的な働きがあります。それは、細胞同士の電子活動を活発にすると同時に神経伝達機能も活性化します。

分かりやすい例としてカルシウムが挙げられます。ミネラルの代表格であるカルシウムは、単純に骨成分のためだけにあるのではなく神経の働きに欠かせないミネラルでもあります。神経は、体内のカルシウムが不足すると細胞内の貯蔵庫からカルシウムを持ちだしますが、そうなると脳への伝達機能まで働き精神的な異常興奮につながります。カルシウム不足でイライラしてしまうというのは、実はここに原因があったのです。

だからと言ってカルシウムなど、単一でミネラルを大量に摂取してはいけません。あくまでバランスが良く吸収の良いミネラルが脳への神経伝達(ニューロン)や記憶機能(シナプス)をスムーズにします。ミネラルを摂ることで、脳の老化防止やアルツハイマーの予防としても期待できます。

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